ライオンズ高橋光成、エースになるための模索。動作解析で何を手に入れた? (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 鳴り物入りでプロ入りした菊池がブレイクまで年月を要したように、高橋の歩みも決して順調だったわけではない。1年目こそ月間MVPに輝く活躍を見せたものの、以降は投球フォームが固まらずに苦しんだ。

 4年目まで低空飛行を続け、転機になったのが同年オフ。菊池と自主トレを一緒に行なったことだ。

「雄星さんのところで一緒にやらせていただいて、ウエイトトレーニングに出会って体が変わりました。それからガラッと変わっていきましたね」

 高卒5年目で自身初のふたケタ勝利を飾り、シーズンオフに米国アリゾナで菊池ともに自主トレを行なった。そこにネクストベースも来ていて、契約に至った。

 当時の高橋の投球フォームの改善点について、森本氏はこう説明する。

「トレーニングをたくさん積んで体を大きくしたこともあり、力で腕を振って球を速くしたいという動きが動作解析の結果として見られました。ただし、そんなに力を思い切り使わなくても、いい姿勢をちゃんととって腕が加速できるようなフォームを作れていれば、腕が勝手に振られてくるという状態になります。その姿勢を作りましょう、というのが課題でした」

 腕を振るのではなく、腕が振られる----。

 この微妙な感覚の違いは、下半身で生み出した力を上半身、腕、ひじ、指先と、伝えていく運動連鎖の表現としてよく使われる。決して簡単ではないこの感覚を可視化してもらったことで、高橋は自身の課題を把握でき、トレーニングによって改善につなげていった。

 投球フォームという土台に加え、各球種の改善点についてもヒントを得ている。たとえば、ピッチングの軸になる真っすぐだ。

「去年よりストレートの質はよくなってきましたけど、まだまだ自分が求めているスピードより遅いです。真っすぐの空振り率が低いので、どうすればよくできるか。回転数やホップ成分を見ながら、握りもいろいろ試しました。今はシーズンに入っているので、そのへんを気にすることなく、コントロールを意識してやっています」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る