山本昌が完全復活目指す藤浪晋太郎を採点。「78点」の根拠を解説する (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 現時点での仕上がりぶりを聞くと、山本昌氏は「78点」という点数をつけた。

「僕のなかでは彼にもっと求めたいものがありますから。やっと彼本来のよさを追い求められる段階まできたので、ここからですよ」

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 藤浪が本来の姿に戻る日は、そう遠くなさそうだ。それにしても藤浪の例を通じて痛感させられるのは、投手という人種の繊細さである。山本昌氏は「体のどこかを痛めたことをきっかけに崩していくピッチャーが多い」と証言する。

「痛くて、かばって、崩してしまう。どれだけいいピッチャーでも肩を痛めてから崩してしまうピッチャーがいます。それまでよく肩が回っていたピッチャーでも肩を痛めてから回らなくなってしまう。ボールの勢いがなくなって、強いシュート回転がかかるようになってしまう......そういうピッチャーを何人も見てきました」

 幸いにも、藤浪は昨年10月に自己最速の162キロをマークしたように、体のどこかに異常をきたしているわけではない。類まれなポテンシャルに加え、旺盛な探求心が生きるのはこれからだろう。

 藤浪晋太郎の全盛期は2021年から始まった──。のちにそう振り返る日がくるようなパフォーマンスが見られる可能性は十分にある。

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