槙原寛己が語る桑田真澄の指導。投げ込みや走り込みの意見は誤解されている

  • 石塚隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

 今年の1月12日に球界を駆け巡った巨人の桑田真澄一軍投手チーフコーチ補佐就任報道。プロ野球評論家の槙原寛己氏は、このタイミングに驚いたという。

「すでにコーチングスタッフが決まっている中で、原辰徳監督の発案により入閣を打診したということですが、今年に入ってからですよね。普通だったらあり得ないことですよ。おそらく引き受けてもらえないという予測もあったと思うのですが、打診をすると色よい返事をもらった。そこで改めてポストを用意したということでしょうね」

戸郷翔征のピッチングを見守る桑田真澄投手チーフコーチ補佐戸郷翔征のピッチングを見守る桑田真澄投手チーフコーチ補佐 原監督と言えば元木大介ヘッドコーチしかり宮本和知投手チーフコーチなど、前例にとらわれない驚きの人選をしてきたわけだが、今回の桑田コーチの就任にはどのような狙いがあったのだろうか。槙原氏はこうつづける。

「巨人での長い現役生活はもちろんメジャーリーグに挑戦した経験に加え、現役引退後は大学院に通うなど違った角度で野球を勉強してきています。現役当時から彼は理論的な選手でしたが、特に今の選手は指導するにしても納得させられるだけの理論や理由がなければ動きません。そこで原監督は選手たちがどんな反応を示すのか知りたかった、またプラスになることがあると感じたのでしょう」

 1990年代、槙原氏は桑田コーチとともに巨人の先発陣を背負い一時代を築いた仲である。2月上旬、キャンプが行なわれている宮崎県に槙原氏は向かい、15年ぶりに巨人のユニフォームに袖を通した桑田コーチと顔を合わせている。

「まだコーチになったばかりなので現場には遠慮している感じでしたね。マスコミも注目するので、きっとやりにくい面もあったと思いますよ。本人とも話しましたが、徐々に様子を見ていきたいと言っていました。いきなりパッと選手と顔を合わせて有意義なアドバイスや指導などできるわけありませんし、まずは選手とコミュニケーションを図ることで、性格や特性を知っていきたいと言っていました。今は見極めているタイミングだと思いますね」

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