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廣岡達朗が巨人とソフトバンクの差を熱弁「誰がチームの中心なのか」 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

【「平等性」こそ、今のプロ野球界に欠けているもの】

 これまでもしばしば廣岡氏は「コミッショナーのあり方」について疑義を呈している。それは今回の「リーグ間格差」についても同様だ。

「そもそも、コミッショナーというのは野球界がよりよいものとなるために存在しているんです。しかし、現状では権限があるにもかかわらず、それを行使することもなく各球団のオーナーの言いなりになっています。腹をくくって、"オレが野球界をよくするんだ"という覚悟がないんです」

 さらに廣岡氏は「最大の問題点は、コミッショナーが平等性という観点を持ち合わせていないこと」と指摘する。

「巨人の選手獲得姿勢を見ていてもわかるように、現在のプロ野球界には平等性という観点がまったく欠けています。いい選手を獲得した球団が得をし、獲られた球団が損をする。FAで選手を失ったのなら、その分、ドラフト会議では優遇をする。こんな単純なことがどうしてできない? 弱いチームが努力して強くなれば、強いチームはさらに努力する。その結果、リーグ全体が発展していくんです」

 つまり、世間で話題となっている「リーグ間格差」ではなく、廣岡氏の目には「12球団格差」のほうがより大きな問題と映っているのである。

「球団間による不平等さこそ、まずは排除すべき大問題ですよ。しかし、それなのにコミッショナーは何もせず、各球団がそれぞれ"自分さえよければいい"という考えしか持っていない。今こそ、"これは違う"とコミッショナーがリーダーシップを取ってほしい。それこそが、私がもっとも望んでいるプロ野球界の正しいあり方なんです」

 2月9日に89歳を迎える。しかし、その口調はいまだ熱く、野球界への提言は尽きることがない。はたして、「球団間格差」は改善されるのだろうか? 2021年のプロ野球界はどのような展開が待ち受けているのか?

【profile】 
廣岡達朗 ひろおか・たつろう 
野球評論家。1932年、広島県生まれ。呉三津田高、早稲田大を経て、54年に読売ジャイアンツに入団。同年、新人王を獲得し、ベストナインに選ばれた。66年に引退。76年にヤクルト・スワローズの監督に就任し、78年に球団初の日本一に導く。82年には西武ライオンズの監督となり、4年間で3度のリーグ優勝、うち2度の日本一と西武の黄金時代を築いた。92年に野球殿堂入りを果たした。

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