名球会メンバーが涙した大杉勝男との別れ。八重樫幸雄はサヨナラ打を捧げた (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

【大杉さんの訃報を聞いて......】

――突然の闘病生活だったのでしょうか?

八重樫 いや、その数年前に検査で異変は出ていたようでした。ただ、当時は大洋のバッティングコーチに就任していたので、異常があったけど、精密検査をすることなくそのままにしていたみたい。それで、気がついた時には手遅れになっていたようです。

――お見舞いを終えた後、八重樫さんは大阪遠征に旅立ったんですか?

八重樫 うん、「またお見舞いに来ますね」と言って病室を出たんだけど、それが最後になってしまったね。大杉さんはすでに自分の状態を理解していたから、本人は「これが最期だ」という思いがあったんじゃないかな。

――そして、大阪遠征中に大杉さんの訃報が飛び込んできた......。

八重樫 大阪で2試合をした3戦目の昼間だったと思います。僕たちのところに、「大杉さんが亡くなった」って連絡が来たんです。みんなショックを受けていましたよ。それまで阪神には連敗していたんだけど、この日の試合は勝ったんだよね。

――この日の夜の『プロ野球ニュース』は、奇しくも大杉さんと縁のある大矢明彦さん、当時フジテレビの中井美穂アナが司会で、両MCが放送中に号泣した場面が、とても印象深いです。

八重樫 あの日はみんなが悲しんで、大きなショックを受けていたね。それで東京に戻ってきて、お通夜や告別式に出たんです。出棺の時に、確か金田(正一)さんとか、野村(克也)さんとか、若松(勉)さんとか、名球会の人たちがみんなで大杉さんの棺桶を担いでいたのは今でも覚えています。みんなが泣いていました。

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