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人的補償後の成績を左右するもの。藤井秀悟が指摘する「当事者の意思」 (2ページ目)

  • 森大樹●取材・文 text by Mori Daiki
  • photo by Kyodo News

 日本ハム、巨人には共にわずか2年間の在籍で、『まだ選手としてやれることがある』という思いもあっただろう。それでも移籍が決まった以上はそれを受け入れ、藤井は自分の役割をいち早く理解し、環境に適応する努力をしてきた。

「早く環境に馴染めないと結果に直結してしまうので、移籍先がどういうチームで、どんな選手がいるのか、その中で自分がどう生き残っていくのかを考えていました。人的補償の時は僕もそれなりの年齢(34歳)で他球団にも知り合いがいたので、ベイスターズがどういうチームか聞くこともできましたが、それでも実際に行ってみないとわからない事情があります。

 家も、巨人から横浜に移籍した時はそのままでしたけど、ヤクルトから日本ハムにトレードで移籍した時は東京から札幌に移ったので、住む土地が変わるのも大変でしたね」

 移籍による環境の変化に加え、実績ある選手は「これくらいはできるだろう」という周囲からの期待とプレッシャーとも戦わなければならない。過去の自分の成績というわかりやすい物差しがある以上、どうしてもその数字と比較されてしまう。

 藤井自身も人的補償で横浜に移籍した時には、当時の自分が残せそうな数字と、過去の成績による期待値とのギャップを感じていた。逆に言えば、結果さえ出せば環境は自然と整っていくものでもある。

「結局、野球で結果を出せていれば自分にも余裕が出てきて、周りも受け入れてくれるから環境に順応しやすくなるんです。例えば昨年の澤村(拓一:昨シーズン途中に巨人からロッテへ移籍)のように、移籍してパッと活躍できるとチームに馴染みやすいですね」

 澤村は、巨人で48勝50敗、51ホールド74セーブという成績を残したが、今シーズン前半は防御率6点台と苦戦していた。そんな中、シーズン途中に巨人からロッテにトレード移籍するとすぐに結果を残し、中継ぎとして勝利の方程式の一角を任された。周囲からの期待、活躍に懐疑的な声にも結果で応え、プレーしやすい環境を自ら切り開いたといえる。

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