32歳、澤村拓一が意外な人気のワケ。コロナ禍で気になる日本人のMLB移籍 (5ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

 以前は高い入札金を提示したMLB球団による独占交渉だったが、契約総額に対して譲渡金が発生する"後払い"のような形になった。選手は入札したすべての球団から条件的にいいところを選べるようになり、以前より選択の余地が増えている。

 一方、NPB球団は以前のように高額の譲渡金を得られにくい。MLB球団が契約金を抑えようとすれば、短い年数での契約になり、譲渡金も少なくなるからだ。

 以上の点を踏まえ、長谷川氏はこんな提案をする。

「日本の球団が権利を有している選手たちなので、極端に言えば、MLBに売り込んでもいいわけです。日本の各球団には国際部の人たちがいるので、シーズン終了後にポスティングにかけることが決まっている場合、『この選手の価値を考えたら、本当はこれくらいの契約になりますよ』と前もって話をすることもできます。球団がしかるべき市場調査をして、選手の適性な価値を伝えられれば、それだけ譲渡金も高くなります」

 球団が選手の海外移籍を"ビジネス"ととらえ、前もって交渉することで選手の価値は高まり、球団が手にする譲渡金も増えるというわけだ。

 はたしてコロナ禍の今オフ、メジャーを目指す選手たちはどんな条件で移籍をかなえるのか。FAとポスティングの条件面での違い、選手の"市場価値"などさまざまな視点を持って眺めることで、ストーブリーグがより興味深く見えてくるはずだ。

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