2020.11.10

ヤクルト奥川恭伸が一軍デビュー。
「甲子園スター」たちの初登板は?

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

 だが、マウンドでのパフォーマンスは本物だった。この年からスタートした、セ・パ交流戦の最終カードである広島戦に先発したダルビッシュは、カーブ、スライダー、シンカーと、高卒ルーキーらしからぬ変化球主体の老獪な投球で相手打線を翻弄。8回0/3を投げ9安打3奪三振2失点で、プロ初登板初勝利を飾った。高卒ルーキーでは99年の松坂以来、6年ぶり12人目の快挙だった。出遅れたとはいえ、ダルビッシュはこの初登板からローテーションに定着し、5勝5敗、防御率3.53。先発としての役割を果たした。

 ダルビッシュがルーキーとして躍動していた2005年夏。甲子園で一躍脚光を浴びたのが、駒大苫小牧の2年生投手の田中将大だった。チームの夏連覇に貢献。3年夏にも早稲田実業との決勝戦再試合の激闘を演じるなど「世代ナンバーワン」の称号を手にし、高校生ドラフトでは4球団による競合の末、楽天に1巡目で入団した。

 鳴り物入りでプロ入りしたはずの田中のデビューは、松坂やダルビッシュのように華々しくはなかった。

 3月29日のソフトバンク戦で先発した田中は、初回から相手打線の猛攻を受けた。6安打6失点。わずか1回2/3でノックアウトされ、ベンチへ戻ると自分への不甲斐なさからタオルで顔を覆い、涙を流した。

 デビュー戦は屈辱に終わったが、田中はその後、快刀乱麻のピッチングを披露。プロ3戦目となった4月18日のソフトバンク戦。初登板で辛酸を嘗めさせられた相手に、高卒ルーキーでは松坂以来の13奪三振、9回2失点でプロ初勝利を完投で飾った。

 さらに6月13日の中日戦で、ダルビッシュ以来の高卒ルーキーによる完封勝利。6月までに4勝を挙げたのは松坂以来だった。最終的にシーズンでは11勝を挙げ新人王に輝いた。

 先人たちが松坂の偉大な記録をその腕で呼び起こし、スターダムへと駆け上がっていったなか、「松坂超え」を実現させたのが2013年の日本ハム・大谷翔平(現・エンゼルス)だった。

 甲子園には2度出場。投げては高校生最速(当時)の160キロ、打っても通算56本塁打で「二刀流」として日本ハムに入団したゴールデンルーキーは、まず打撃で魅せた。