今季唯一のドラ1高校生野手の育て方。
監督が語る具体的練習と井上朋也の未来 (3ページ目)
「やっぱり子どもですよ。打つことしか考えてないから(笑)。外野手では打つことだけになるから、キャプテンにして周りを見てほしかった。サードにチャレンジさせて、ボールにいっぱい触らせたかった。楽をさせないように、周りを見られるように。そこら辺から徐々に発言も変わってきました」
進路を進学かプロか迷っていた井上だが、昨年末の面談で、最高峰の舞台へ勝負を挑むことに決めた。ちょうどその頃に始めたのが、打撃改造だった。
もともと打つポイントが身体に近く、ボールを引きつけて打てるという特長がある。さらに打撃の幅を持たせるため、「前でも打てるようにしてみては」と岩井監督は提案した。
「進化しないと、結局伸びていないことになる。新しいことに取り組んでいかないといけない。同じことをやっていると彼が停滞しちゃうので、あえて難しいことをやるのが大事だと思いました」
具体的にはトップ(後ろ)を深くとり、フォロースルー(前)を大きくする。ポイントの近い井上がそうした打ち方に変えられたのは、「ヘッドスピードが速いから」と岩井監督は説明する。花咲徳栄の名物練習として知られる、10〜15キロのハンマーをタイヤに振り下ろすトレーニングなどで土台をつくってきた。
「井上だけではなく(卒業生の)野村(祐希/日本ハム)もそうですが、うちの場合はとにかくヘッドスピードを速くする。だから、打球は割と遠くに飛びます。まずは前を大きくして、今度は後ろも大きくする。井上には手首と握力の強さがあり、振れる子だからできる打ち方です」
非常に高度な打法のため、井上が迷い込まないよう岩井監督は今年2月までマンツーマンで指導した。
昨年12月から木製バットを使用し、年明けの1月から1200グラムある打撃マシン用の金属バットに変更。新型コロナウイルスの影響でセンバツの中止が決まると、再び木製を手に取った。6月に夏の代替大会が発表されると、金属バットに戻している。
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