2020.11.05

巨人の2枚看板・江川卓と西本聖。
八重樫幸雄がふたりのスゴさを比較

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「オープン球話」連載第39回

【バットに当たらない全盛期の江川のストレート】

――さて、八重樫さんが往年の名選手との思い出を語っていく新シリーズ。前回までの「スーパーカートリオ」編に続いて、今回は1980年代ジャイアンツの両雄「江川卓&西本聖」両投手について伺いたいと思います。当然、両エースとは何度も対戦していますよね。

八重樫 もちろん、2人とは何度も対戦しています。江川は「ひと昔前のピッチャー」という感じで、ストレートとカーブだけ。球種は少ないんだけど、そのストレートの回転が抜群で、力でバッターを圧倒するピッチャーだったね。

共に巨人のエースとして活躍した江川卓(左)と西本聖(右)―― 一方の西本投手の印象は?

八重樫 西本はやっぱり、シュートピッチャーという印象が強いよね。闘争心が強くて、バッターに対して向かってくるタイプ。無表情で感情を表に出すことなく、淡々と投げていた江川とは好対照だったかな。

――まず、江川さんから詳しく伺います。誰もが「全盛時の江川には手も足も出なかった」と語りますが、八重樫さんも同じ感想ですか?

八重樫 彼はストレート中心で投げてくるでしょ。僕は高めのストレートが得意だったから、そこに狙いを定めるわけです。でも、ボールはバット上を通過して空振りになる。高めを狙い、そこに来たから「とらえた!」と思ったのに、ボールにかすりもしない。それが江川のストレートでした。

――そういうピッチャーは他にはいましたか?

八重樫 阪神時代の江夏(豊)さんがそうでしたけど、それ以外は江川だけだね。感情を表に出さず顔色がまったく変わらないのも、バッターとしては意外とやりにくいものなんですよ。それに、こっちが三振しているのに、マウンド上の江川は首をひねったりする。自分のボールに納得していないのか、審判へのアピールなのかはわからないけど、何だか腹が立ったよね(笑)。