最後の隠し球や球場騒然のナイス判断も。
プロ野球「したたかプレー」の数々 (3ページ目)
こういったプレーはキャッチャーのバント処理で出ることが多いが、昨シーズンのロッテでは、キャッチャーの田村龍弘とセカンドの中村奨吾の「連携頭脳プレー」も見事だった。7月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)の6回裏、無死一塁で日本ハム・石井一成の送りバントが小フライになると、田村がわざとワンバウンドさせてから捕球して一塁に転送した。
一塁のベースカバーに入った中村は、ベースから足を外した状態で捕球し、帰塁した一塁走者にタッチ。その後にベースを踏んで打者走者もアウトにして併殺を完成させた。ベースを踏んだ状態で捕球していたら、打者走者のみがアウトになっていた場面。試合を見ていたファンも「一体何が起きたのか?」と状況を把握できず、球場のざわつきもしばらく収まらなかった。
広島のキャッチャー・石原慶幸も、とっさの判断でピンチを脱したことがある。2013年5月7日のDeNA戦(マツダスタジアム)、6回表2死一塁の場面で、ピッチャー・久本祐一のボールを石原がボールを捕球し損なう。転がったボールがバッターボックスの白線と重なったため、石原は見失ってしまった。
この様子を見た一塁ランナーの石川雄洋は、二塁へ進もうとスタートを切るそぶりを見せた。しかし石原は、砂を鷲づかみしてボールをつかんだフリをして石川を視線でけん制し、進塁を防いだ。DeNAの当時の指揮官、中畑清も笑顔になったプレーは『一握の砂』と呼ばれ、ファンの間で語り継がれている。
これらのトリックプレーは、ルール上は問題ないとはいえ、賛否が分かれることもあるだろう。失敗した場合のリスクもあるが、成功すれば流れを引き寄せられるプレーであり、緊迫した試合で見られるこそ大きく盛り上がる。「この場面では、こんなトリックプレーが見られるかもしれない」などと想像しながら、試合を見ることも一興だ。
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