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ヤクルトのセ・リーグトップの数字は
高津監督の「信念」の表われだ (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 その宮本は、試合で心がけていることについてこう話した。

「いただいているチャンスなので毎試合、自分にプレッシャーをかけて、やれることをやろうと。チームプレーが一番大事だと思うので、簡単にアウトにならないとか、相手の嫌がることは何かを考えて、練習の時から細かいことを想定してやっています」

 これらの思い切った選手起用は、高津監督が昨年まで二軍監督を務めていたことでチーム全体を把握していることに加え、「選手が70人いたら、みんなを戦力として見ています」という考えが芯となっている。8月終了時点でヤクルトは51人の選手が一軍の試合に出場したが、これはセ・リーグトップの数字である。

「もちろんスタメンも先発ローテーションもバチっと決まるのが理想ですが、今は(故障者やベテランを休ませることで)それができないので......。我々は総力戦ですし、表現は違うかもしれませんが、選手たちを遊ばせたくないし、腐らせたくないんです。常にチャンスがあるということを気づかせてあげたい。勝負になれば(起用は)偏ったりしますが、できるだけゲームに出て、喜んだり悔しがったり、そうした感覚を身につけてほしいんです」

 それとは対照的に、辛抱強い選手起用も目につく。たとえば、新外国人投手のガブリエル・イノーアは結果が出ないなかで、先発のマウンドに6試合送り続けた。

「一番は(現状を)破ってほしいということですね。若い子であればそこで一歩成長してほしいし、ベテランであれば早く調子を取り戻してほしい。自分のところで打線が途切れたり、先発であればなかなか勝ち星がつかなかったり、リリーフで点を取られたり......失敗は仕方のないことなので、そのことは計算しています。オープン戦の時の雄平じゃないですけど......」

 雄平は今年のオープン戦で44打席ノーヒットと大不振に陥ったが、「我慢くらべ」(高津監督)と試合から外すことはなかった。

「もちろん、そのことでチーム自体はしんどくなります。でも、ひとつのリスクを背負っても辛抱強く起用していれば、その先に何か見えてくる気がするんです。だから僕は起用すべきだと思っています」

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