2020.07.10

宮﨑敏郎「やめていたかも」。ギリギリ
進んだプロの世界で球界屈指の打者へ

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 表情は硬く、口は重い。

 それでも聞かれたことに対しては、丁寧に吟味するように答え、事実と違うことにははっきりノーと言う。横浜DeNAベイスターズの宮﨑敏郎のインタビューを通して、この選手の芯の強さを垣間見たような気がした。

2017年には首位打者を獲得したDeNA宮﨑敏郎 宮﨑とかかわった誰もが「こんなに練習する選手は見たことがない」と口を揃える。

 2017年には打率.323で首位打者を獲得。2017年、2018年には三塁手としてベストナインを受賞した。その天才的な打撃は、今や日本トップクラスだろう。今季は7月9日現在、打率.397(セ・リーグ2位)の驚異的なアベレージをマークしている。

 そんな宮﨑だが、アマチュア時代はプロ入りできるか紙一重の選手だった。

 セガサミーに在籍して2年目の2012年、ドラフト会議前に宮﨑の元へ届いたプロ球団からの調査書は4球団。どちらかと言えば同僚の外野手・赤堀大智が注目されており、赤堀はDeNAから4位、宮﨑は6位指名を受けた。

 赤堀は身長188センチ、体重90キロと体格的に目立ち、身体能力に優れたアスリート型外野手だった。一方の宮﨑は身長172センチ、体重85キロと、ずんぐりむっくりの体型で、走塁・守備はプロで売りになるレベルではなかった。宮﨑がプロに入るとすれば、打撃でアピールするしかなかった。

 そんな宮﨑が「打つ、打たないの結果次第では違った道を歩んでいた可能性はある」と振り返る一打がある。