山田久志の「令和のサブマリン論」。
アンダースローこそ本格派であれ!
約3カ月遅れで開幕した2020年プロ野球シーズン。無観客試合、過密日程など異例のシーズンを迎えたが、そんななか"絶滅危惧種"と言われているアンダーハンド投手たちが奮闘している。昨年のパ・リーグ新人王・高橋礼(ソフトバンク)、プロ3年目にして初の開幕ローテーションをつかんだ與座海人、メジャーから日本球界に復帰を果たした牧田和久(楽天)......。なかでも高橋礼と與座はともに24歳と若く、これからさらなる飛躍が期待される投手だ。彼らの可能性について、通算284勝の「伝説のサブマリン」山田久志氏に聞いた。
昨年12勝をマークし、パ・リーグ新人王に輝いたソストバンク・高橋礼── 昨年、高橋礼投手がパ・リーグの新人王に輝き、今年はメジャーから牧田投手が日本球界に復帰し、プロ3年目の與座投手が開幕ローテーション入りを果たしました。また、ヤクルトの山中浩史投手も虎視眈々と一軍復帰を狙っています。アンダーハンドの投手が増えてきたという現況について、どう思われていますか。
「野球界にとってはすごくいいことだと思います。プロの世界でアンダーハンドの投手が成功すると、野球をやっている子どもたちにとっても選択肢が増えますから。ただ、アンダーハンド投手にアドバイスできる指導者が少ない。だから、アンダーハンドに興味があっても教えてくれる人がいないからやらないといった子が結構いるようなんです」
── アンダーハンドの向き不向きは、どのようにして見極めたらいいのでしょうか。
「下半身の柔軟性、関節の柔らかさはすごく重要です。しかも、ただ柔らかいだけじゃダメで、そこに強さも必要になってきます。あと腰の動きもオーバーハンドの投手とは異なってきますので、しっかり適正があるかどうかを見極めなければいけません。
私は野球教室やヤングリーグ(全日本少年硬式野球連盟)の会長をしている関係で子どもたちと接する機会が多いのですが、たとえばオーバーハンドの投手の子がケガをしたとします。すると、指導者たちはすぐに野手に転向させてしまうんです。そうじゃなく、腕の位置を変えて投げさせてやるのもひとつの手段だと思っています。そのなかに適正のある子がいるかもしれません」
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