八重樫幸雄が現役最強キャッチャーを選出。あの決勝戦での好リードが決め手 (5ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――平松さんと言えばカミソリシュートが有名ですが、スライダーもすごかった?

八重樫 うん、本当にすごかった。決め球のシュートを生かすには逆方向に曲がるスライダーが効果的だけど、平松さんの場合はスライダーもすごかったよ。で、カーブも2人いるんです。大きく曲がるカーブは今中慎二(中日)。彼の場合はストレートが速いから、あのカーブには手こずったよね。一度、キュッと止まって、そこからスピードを落とさずにシュッと曲がってくるんですよ。

――ではもうひとり、カーブの使い手は?

八重樫 もうひとりは北別府学(広島)ですね。彼の場合も途中で止まるようなカーブだけど、今中みたいなスピードはない。でも、コントロールが絶妙で、本当に手を焼きました。あっ、「2人」って言ったけど、もうひとりいました。阪神の江本(孟紀)さんもいいカーブを投げていましたよ。江本さんって長身で手が長いでしょ。それで猫背気味に、しかも極端にクロスステップして投げてくるから、右打者としてはとても厄介でした。

――続いてはシュート。これはやはり平松さんでしょうか?

八重樫 そうですね。平松さんと、あとは安仁屋宗八(広島)さんかな? そうそう、巨人時代の西本聖もシュートはすごかったですね。でも、西本の場合は途中からシンカーを覚えたんです。それ以降は、かつてのようなシュートの切れ味はなくなったような気がしますね。このシンカーは左バッターには有効だったけど、新しい球種をマスターしたことで、もともとのシュートの威力は落ちたような気がします。

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