劇的サヨナラ勝ちが3夜連続。倉本寿彦の内野安打はDeNAに勢いをつけた (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

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 9回裏、マウンドには抑えの中﨑翔太。宮﨑と戸柱恭孝が簡単に打ち取られ2アウト。ここでDeNAは代打にベテランのG.後藤武敏を送った。移籍6年目の代打職人は「ゴメス〜!」と生え抜き選手に負けない声援を受け、打席に立った。

 後藤はカウント1−1から真ん中高めのストレートを弾き返すと、ライトフェンス上段に当たる二塁打となった。ここで代走に高城俊人が送られた。

 このチャンスで打席に立ったのは、9番の倉本寿彦だ。この3連戦、倉本はここまで9打数2安打とチームの勝利にあまり貢献できていなかった。

 振り返ればこのシーズン、倉本は序盤から調子が上がらず、自らスタメンを外してほしいと首脳陣に直訴するほど追い込まれていた。それでもラミレス監督は頑なに倉本を起用し、ようやく復調の気配を見せていた。

 倉本は、中﨑の厳しいボールをファウルで粘りフルカウントに。冷静な面持ちだったが、いささかバットに力がこもっている。そして6球目、146キロのストレートがインハイへ。見逃せばボールだったが、倉本は迷わず強振。すると、どん詰まりの打球がセカンド・菊池涼介の前にふわりと上がった。

 誰もが「3アウトチェンジ」と思った瞬間、打球は強烈なスピンによって不規則なバウンドとなり、名手・菊池がまさかの後逸。すぐさまショートの田中広輔が捕球しホームに送球するが、好走塁を見せた高城がホームイン。これまで2戦の鮮やかなサヨナラ勝ちとは違い、執念で勝ち取った大きな1勝。倉本が放った一打には男の意地が詰まっていた。

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