2020.04.25

劇的サヨナラ勝ちが3夜連続。倉本寿彦の
内野安打はDeNAに勢いをつけた

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

日本プロ野球名シーン
「忘れられないあの一打」
第6回 DeNA・倉本寿彦
3夜連続サヨナラ勝ちを決めた内野安打(2017年)

 胸がすくような豪快なホームランは言うまでもなくすばらしいが、一方で泥臭い一打には、選手の思いや情念が色濃く見える気がしてならない。

 横浜DeNAベイスターズ、奇跡のサヨナラ3連勝──。

 2017年、首位を独走する広島を横浜スタジアムに迎えた8月22日からの3連戦、ファンは驚愕の光景を目の当たりにすることになる。その頃、DeNAはリーグ4位でCS(クライマックス・シリーズ)争いの真っ只中にあり、広島との試合は絶対に落とせなかった。

3試合連続サヨナラ勝ちを決める内野安打を放った倉本寿彦(写真右) 初戦は2対5と3点ビハインドの9回裏、筒香嘉智、ホセ・ロペス、宮﨑敏郎の3連続ホームランで信じられないような逆転サヨナラ勝ちをすると、翌23日は同点の10回裏に梶谷隆幸が右中間を破るサヨナラタイムリーを放ち2連勝を飾った。

 そして3連戦最後の24日、さすがに広島相手に3タテは難しいだろうと思っていたが、「まさか」の展開が待っていた。

 DeNAは5回終了時点で1対4とリードを許していたが、広島先発の中村祐太をようやくとらえると、6回、7回に1点ずつ加え1点差に。じわりじわり、ハマスタの空気が変わっていく。

 8回には筒香が一岡竜司からタイムリーを放ち同点に追いつくと、ベンチやスタンドのファンは「今日もいける!」と期待が高まった。指揮官であるアレックス・ラミレス監督は、就任当初から「野球はモメンタム(流れ)が大事」と常々言ってきたが、まさにそれを体現するような状況が整った。