2020.02.20

「なんであんなに叩かれてるの?」と
心配されるDeNA倉本寿彦の苦闘

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu

「準備は整いました。あとは結果を残すだけです。今年は目標とか数字とかはありません。ただ試合に出たい。そのためなら、なんでもやるつもりです」

 2020年、平塚球場での自主トレ最終日。倉本寿彦はそんな言葉を残して沖縄キャンプへと飛び立った。いつも通りの、淡々としながらも強い思いを秘めた倉本の物言いは、戦う姿勢に入っていることの証(あかし)だった。

倉本の今季は平塚球場での自主トレから始まった
* * *

「もう後はないと思っています」

 倉本からそんな言葉を聞いたのは初めてだった。1年前のちょうど今頃のことだ。
 
 フルイニング出場から一転、大和の加入でセカンドへコンバートされ、大幅に出場機会を減らした2018年のシーズンを考えれば、息が詰まりそうになる言葉の重みを感じた。だが言葉を発した当の本人から、悲壮感や決死の覚悟といったものは感じられない。いつも通りの、淡々とした倉本のまま。ただ、言葉だけが異様な迫力を持っていた。

「具体的に数字がどうこうというものではなくて、"試合に出られなかった"ということがすべてです。試合に出られない間に、自分に足りないものは何なのかをずっと考えていました。単純に技術が足りなかったこともあるだろうし、気持ちの面でも、野球に対しても、どこかに甘さがあったのかもしれない。

 今の僕に求められているのは"ヒットを打つこと"です。1年目の途中からヒットが出るようになって『このままいけば試合にずっと出られるのかな』と思っていましたが、18年は完全に崩れてしまいましたからね。これは変わらないといけないな、と感じました」