ヤクルト進撃の起爆剤となるか。名手エスコバーがチームに与える好影響 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 状態が上がってきた時のイメージについて聞くと、こんな答えが返ってきた。

「技術的な部分での心配はないですよね。取れるアウトを確実に積み重ねてくれて、そのなかでYou Tubeで見られるようなビッグプレーは勝手に出てくると思います(笑)。あとは、環境の変化への対応だけだと思います。メジャーと日本ではボールの質感が違いますし、人工芝も多いですし、サインプレーもある。いろいろ覚えることがありますが、エスキー(エスコバーの愛称)はすごく真面目なので、そこも心配していません」

 森岡コーチは、エスコバーの存在が、ここ数年レギュラー獲得のチャンスをつかみながら頭ひとつ抜け出せない若手たちの刺激になると期待している。

「キャンプインした時に、エスキーが入ったことで、彼らなりに『普通にやっているだけではダメだ』と自覚しているように感じました。みんな動きがよくなっています。ただ、彼らに誤解してほしくないのは『ショートはエスキーで決定』ではないということです。エスキーの技術をどんどん吸収して、彼と争ってほしい。みんなレベルアップしてくれることが、チームとしての底上げにもなりますから」

 そこで、ふたりの若手内野手に今シーズンにかける思いを聞いてみた。

 廣岡大志は昨シーズン10本塁打を記録するなど、大型遊撃手としての才能が開こうとしている。

「エスコバー選手は自分と同じポジションですし、試合はひとりしか出られないので、ポジションを獲りたいという気持ちが増したことは確かです。僕もメジャーリーグは好きですし、ゴールドグラブ賞を獲っている選手と間近でプレーできることは貴重なことです。ただ、吸収することについては、体型が似ていても骨格の違いもありますし、やっぱり自分は自分なんで......。

 自分はまだまだなんですが、ホームランが打てるというのはひとつの武器だと思っています。でも、それだけではダメなので、しっかりチームプレーや守備で貢献して、バッティングでは長打力と確実性をバランスよく出せればと思っています。そのための準備はしてきました」

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