野村克也に八重樫幸雄が感謝。
ベテランへの気遣いと現役後のアドバイス

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

番外編

【ニュース速報で知った突然の訃報】

――2月11日、野村克也さんが亡くなられました。八重樫さんが第一報を知ったのはいつのことでしたか?

八重樫 11日の朝、自宅でテレビを見ていたときにニュース速報で知りました。あまりにも突然のことで、「えっ......」って言葉を失って、しばらくの間は信じられなかった。でも、その後の続報が入ってくるうちにようやく現実感が出てきて......。

選手、監督として球史に名を残した野村克也選手、監督として球史に名を残した野村克也――野村さんに最後に会ったのはいつのことですか?

八重樫 1月20日に行なわれたヤクルトOB会ですよ。車椅子には乗っていたけど、顔色もよかったし、みんなの前で「ヘッドコーチに就任したい」って発言したり、全盛時のノムさんが復活していた感じだったよね。むしろ、昨年7月のドリームゲームのときよりもずっと元気に見えたから、なおさらこんなに早く亡くなるなんて、本当に信じられない......。

――野村さんがヤクルトの監督に就任したのが1990(平成2)年のことでした。このとき八重樫さんはプロ21年目の大ベテランでしたが、野村さんは八重樫さんにどのように接していたんですか?

八重樫 僕や杉浦(享)、角(富士夫)のようなベテラン選手に対する気遣いはすごくありましたよ。報道で伝えられているように、池山(隆寛)や古田(敦也)たちがすごく厳しく育てられたイメージが世間の人にはあるのかもしれないけど、僕らに対しては練習や調整方法も自主性に任せてくれたし、僕の場合は代打のいい場面で起用してもらったりしたよね。逆に、「えっ、こんな大事な場面でオレでいいの?」って思うぐらい(笑)。

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