2020.02.06

松井裕樹が絶不調のなかで見つけたもの。
先発転向の伏線は2年前

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Taguchi Genki

 高校まで先発マウンドに立つことが当たり前だった松井裕樹にとって、守護神は縁遠いポジションだと思っていた。

「プロになった時はローテーションで投げるイメージしかありませんでしたから。抑えとしてやっている姿っていうのは、もちろん想像もしていませんでした」

今季から先発に挑戦する楽天・松井裕樹 楽天に入団した1年目(2014年)こそ17試合に先発したが、2年目からは絶対的な抑えとしての地位を確立。2018年にプロ野球史上最年少で通算100セーブを達成すると、昨年は自身初となるセーブ王のタイトルを手にした。

「そこが人生の面白いところですよね。何が起こるのか本当にわからない」

 そう笑う松井が、今季から再び先発投手としてマウンドに立つことを決断した。

 守護神としてたしかな実績を築き、満を持して先発に挑戦するといった概念は松井にはない。あえて理由を挙げるとすれば、「もっと成長できる」といった貪欲なマインドが松井に根付いているからだ。

 長いイニングを投げるとなると、スタミナはもちろん、ペース配分を考えなければならないし、投球フォームだって今まで以上に微調整を繰り返さなければならなくなるだろう。さらに、同じ打者と何度も対戦するため、よりいっそう研究に時間を費やさなければならないし、味方捕手との信頼関係も強めていかないといけない。やるべきことは山積みだ。