平石洋介が明かすソフトバンクからのコーチ就任要請を受諾した真意 (7ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

「それがマイナスだとは思いませんね。長く見続けたことでいい面もあれば、新しい場所だからこそ新鮮に見える面もある。他球団の人間としてホークスの選手のプレーは映像で見たりはしていましたけど、『どういう取り組みをしているのか?』『どうやって体を使っているんだろう?』とかは、実際に見たり、話さないとわからないじゃないですか。

 そういうコミュニケーションのなかで相手の性格もだんだんわかってくるだろうし。人から聞いた印象を真に受けて、その選手と接するようなことだけは絶対にしたくないんです。だから、コミュニケーションはどんどん取っていきたいですね」

 まだ不安を払拭し切れていないだろう。それでも平石は、楽天時代から選手に言い続けてきた「勇気を持って戦う」姿勢を、指導以前のコミュニケーションの段階から強く打ち出そうとしている。

 ソフトバンクの強さの根源に数多く触れられる一方で、「もっと改革が必要なんじゃないか」と感じる部分もきっと出てくるだろう。プラスとマイナス。そのすべてを掛け合わせても、平石は「ホークスに来たことは絶対に無駄にはならないし、しませんよ」と、力強く決意を表明する。

「今はホークスのため、選手のために何ができるのか。そのことだけを考えて、いろんなことにトライしていきたい。その気持ちしかありませんね」

 東北の犬鷲が、福岡の鷹へと変貌を遂げ、新たな戦いに身を投じた。

 ホークスのために──そう誓った平石が、古巣の楽天と初めて対峙するのは3月27日の福岡での試合だ。仙台での初対戦は4月21日となる。

「どんな感じになるのか、自分でも楽しみですね。とくに仙台での試合は」

 そう笑みを浮かべながら平石は語った。しかしその眼は、鷹のごとく鋭く光っていた。

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