日本ハムはドラフト3位以降がキモ。
注目野手で主力と控えの差を埋める

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~日本ハム編

 今シーズン、日本ハムの試合を見て感じたのは、「点を取るのに時間がかかるなぁ......」ということだった。ひと言でいえば、攻撃にスピード感がない。

 たとえば、ランナーが一塁に出て、バントで送る。その後、シングルヒット2本でようやく1点というシーンを何度も見た。出た目が「1」ばかりのすごろくを観戦しているかのようなじれったさを感じたものだ。

俊足を生かし外野手として出場することもあるホンダの辻野雄大俊足を生かし外野手として出場することもあるホンダの辻野雄大 シーズンが終わり、あらためてチームの成績を見ると、「なるほど......」と思ったことがあった。

 チーム本塁打数93本は、リーグトップのソフトバンク(183本)のおよそ半分。チーム盗塁数48は、楽天と並びリーグワーストで、リーグトップの西武(134個)に大きく引き離されている。

 つまり"飛び道具"が弱いから、シングルヒットでコツコツつないでいく野球しか選択肢がなくなる。それでも夏までは上位争いを繰り広げていたのに、そこからズルズル後退。レギュラー選手の頑丈さも、控え選手の層の厚さも、西武やソフトバンクに比べると物足りなく映ってしまう。

 とくに主力にケガ人が出てしまうと、戦力は急激に落ちてしまう。試合巧者ぶりを発揮して接戦に持ち込むが、最後のひと押しができない。清宮幸太郎、野村佑希、さらに今季イースタンリーグで14本塁打を放った万波中正など、有望株はいるが、まだ一軍でバリバリのレギュラーとしてやっていくには、もう少し時間がかかりそうだ。

 ならば、今年のドラフトはその""を埋めるためのドラフトにするもの一考だ。

 日本ハムのドラフト1位は「その年のナンバーワン選手を獲る」と一貫しており、今年に限っては早くから「佐々木朗希の1位指名」を公表している。そこについて異論はまったくない。そして2位も投手、できれば即戦力でいきたいところだ。

 注目は3位以降だ。野手陣のレギュラーと控えの""を埋めるため、高い技術と総合力を持った大学、社会人の選手を指名するのはどうか。

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