楽天は佐々木朗希を指名すべき。
2位以降は「2枚看板の解釈」で変わる

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略~楽天編

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 ダルビッシュ有(カブス)、菊池雄星(マリナーズ)、大谷翔平(エンゼルス)......そして昨年は吉田輝星(日本ハム)と、これまで幾度となく"東北の逸材"を獲り逃してきた楽天。昨年の吉田に関しては、チームの実情もあって致し方ない部分はあったが、今年は違う。なにがなんでも佐々木朗希(大船渡)だ。

 かつて田中将大(ヤンキース)を超一流の投手に育て上げた球団である。土壌に不足はない。ただ、簡単に獲得できる選手ではない。日本ハムは早くから「佐々木1位指名」を公言し、ソフトバンクも獲りにいくだろう。ほかにも佐々木を1位で指名してくる球団はあるだろう。リスクは高いが、それでも絶対に指名すべき選手である。

今年春の首都大学リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得した日体大・吉田大喜今年春の首都大学リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得した日体大・吉田大喜 その一方で、今年の楽天はドラフト戦略が難しい。

 今シーズンの楽天は、71勝68敗4分でパ・リーグ3位。リーグ屈指の強力2枚看板である岸孝之、則本昂大がケガにより長期離脱を強いられ、シーズンの大半を棒に振った。それでもAクラスに踏みとどまったのだから、大健闘だといえる。

 なかでも、投手陣だ。2ケタ投手こそいなかったが、辛島航が9勝、美馬学とルーキーの石橋良太がともに8勝をマークした。もし彼らがいなかったら、最下位になっていても不思議ではない。

 問題は、この"2枚看板"をどう解釈するかで、指名する選手は変わってくる。来年は岸と則本が開幕からフル稼働できると判断すれば、思い切って野手の獲得に動くのも一考だ。とくに「走れる野手」がいい。

 チーム盗塁数48は、日本ハムと並びリーグリーグワースト。パ・リーグ盗塁王の金子侑司(西武)はひとりで41盗塁も記録している。この数字をどうとらえるかだ。

 楽天には吉持亮汰、オコエ瑠偉、田中和基、小郷裕哉と俊足の選手がいないわけではない。ただ、どの選手も盤石のレギュラーではなく、足を生かせていない。ルーキーの小郷はともかく、ほかの3人は期待されて上位指名で入団した選手である。

 今シーズン、ルーキーの辰己涼介が124試合に出場し、打率.229ながら13盗塁を記録。来季以降、走れるレギュラー候補としての存在を見せつけた。その辰己に続く"もうひとり"がほしい。

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