DeNA大和の光るベテラン力。目指す頂へ「あの悔しさを晴らしたい」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

 もともとプルヒッターだった大和だが、右足を軸にしたコンパクトなインサイドアウトのスイングで、今はセンターから逆方法(ライト方向)を意識している。独自性の高い宮崎のスイングは到底真似できるものではないが、大和はエッセンスを取り入れ、確実に自身のバッティングのレベルアップにつなげた。

 かつては可能性を広げるためスイッチヒッターに挑戦したこともある大和だが、その飽くなき探求心は、若い選手が多いDeNAの手本になっている。

「常に野球は変化しているわけですし、相手からも研究される。だから、自分から変わっていかなければいけないんです。年齢も年齢ですし、常に危機感を持って日々を過ごしています」

 若手への影響力と言えば、守備における所作や振る舞いもそうだろう。ピンチの場面のみならず、絶妙なタイミングで大和はマウンドに向かい、ピッチャーに声をかける。今永昇太をはじめDeNAの投手陣は、大和の何気ない言葉に助けられることが多いのだと言う。

「そこは確かに意識していますね」

 大和はそう言い、続けた。

「若いピッチャーが多いですし、流れやタイミングひとつで投球内容がガラリと変わることがありますから、そこはすごく大事にしています。キャッチャーがマウンドに行ける回数は決まっていますし、必要な時は自分が行く。ただ、年齢が離れすぎているピッチャーの場合は、セカンドに柴田(竜拓)がいれば、『声かけてこい』って伝えますけど(笑)」

 ベテランならではの目配りと気配り。DeNAにとって、大和は今やなくてはならない存在だ。

 現在、チームは2位につけており、CS(クライマックス・シリーズ)進出の可能性は高い。CSは短期決戦であり、ミスが許されない。やはり守備力のある大和の存在は必要不可欠になる。大和は阪神時代に5度(2010年、2013年、2014年、2015年、2017年)CSを経験している。

「やっぱり独特な雰囲気がありますよね。CSのような短期決戦は"流れ"が重要な試合になってきますし、難しい戦いだと思います」

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