森友哉の打棒が止まらない。野村克也以来、54年ぶりの快挙なるか (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 そうして放った先制タイムリーのコメントを見て思い出したのが、キャプテンの秋山が「今季のチームのポイント」として語っていた話だ。

「森をどう大人にしていくか。(菊池)雄星みたいないいピッチャーが抜けて、そこに他のピッチャーが加わるわけです。森は物怖じせずに話せると思うけど、(意思疎通を)よりやってほしい」

 秋元コーチも認めるように、今季、森は投手陣とコミュニケーションをうまくとっている。"女房役"としてリードする気持ちが、打席でプラス効果として発揮されているのだ。

 ふたつ目の特徴は、打撃面にある。代名詞のように言われる「フルスイング」に加え、森のバッティングにはもうひとつの武器があると、阿部コーチが語る。

「タイミングをずらされたときに、コンタクトする能力がすごく高いと思います。あれだけ強く振れるのはもちろん、タイミングがずれたときに(バットの)ヘッドを残す技術は、なかなか他のバッターにはない」

 一般的にタイミングをずらされた場合、ヘッドが下がって弱い当たりになる打者が多い。しかし、森はヘッドを残し、逆方向にヒットを打つことができる。こうした技術があるから、特定の球種やコースにヤマを張るのではなく、「来たボール」を反応で打ち返せる。だからこそ、今季のような高打率を記録できるのだ。

「状態がいいからあっち(レフト)に飛ぶのもありますし、もともと逆方向に打つのは苦手ではないので。ああいう形が出るのは、状態がいいのかなと思います」

 8月13日のオリックス戦のあとにそう振り返ったように、森の状態はいい。このまま行けば、史上4人目の「捕手で首位打者」が見えてくる。

 そのうえでカギを握るのが、コンディショニングだ。森が続ける。

「常に万全の状態かと言われたら、そうではないです。自分だけじゃなく、プロ野球選手はみんな、シーズンを通して万全な状態で試合を迎えられることはほとんどないと思います。そのなかでもしっかり結果を残さないといけない」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る