秋山翔吾「書かれると困る」を解禁。打率を急上昇させた打撃理論 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「5月までよかった人は6月、だいたい打率が大きく落ちるじゃないですか。踏ん張りがきかない感じで。いいものはそのまま続くと思っちゃうんですよね。でも、自分は絶対、5月に月間4割打った感じが続かないとわかっているので、今くらいの打率の落ち方で済んでいます。これが経験ですね」

 6月9日時点で打率.333だったのが、7月2日時点で同.323。一方、得点圏打率は改善されている。試行錯誤を繰り返してきた結果、コンスタントな成績となって表われているのだ。

「4割を打った時くらいのいい感覚で打ちたいと思っていますけど、今はあのひと月とは違うトライをしています。残り半分のシーズンで、これがいいほうに生きてくれることを祈っていますね」

 そう言うと、冒頭のように自身が苦しい場面の想定をして、笑みを見せたのだ。まるで、高いハードルに立ち向かう自分に、ワクワクしているように――。

 雨がやむのをただ待つのではなく、自ら晴れを引きよせようとする。そうした姿勢にこそ、虹のように美しい打球を打てる秋山の秘訣がある。

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