ルーキー近本光司が阪神を変えた。武器は優れた野球脳と溢れる好奇心 (3ページ目)
試合終盤に時間をかけずに点を取られる"敗北感"。そこまで計算して、あの打席であえて長打を狙って振り抜いたとしたら......近本なら「狙っていました」と言われても、まったく驚かない。この一瞬になにが必要なのかを考え、実践できるのが近本という選手の最大の特長である。
昨年のドラフト会議で、阪神は大阪桐蔭の藤原恭大(ロッテ)、立命館大の辰己涼介(楽天)と、立て続けにふたりの外野手を抽選で外し、最後に指名したのが小柄な社会人の外野手だった。
「阪神は大丈夫なのか......」
「ドラフト1位で獲らなきゃいけない選手なのか」
「年齢的にも大きな成長は期待できないんじゃないか」
そんな論調は少なからずあった。
「大丈夫です。立派なドラフト1位ですよ」
いくつものメディアに近本について聞かれた時、私はそう断言していた。その根拠は、近本の野球に対する"頭脳"と"好奇心"。そして外柔内剛の人間性だ。
好調・阪神を支えている立役者は、間違いなくルーキーの近本である。
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