ヤクルト石井琢朗コーチの珍練習再び。ボールではなくバットが飛んだ (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 そう石井コーチや宮出隆自コーチが選手たちに声をかける。選手たちはライバルたちの"バット投げ"を参考にするなど、どうすればうまく投げられるかを考える。美しい放物線を描くバットを見れば、彼らの"躍進"を期待せずにはいられない。

 浦添キャンプに参加した野手は20人で、そのうち下記の13人が早出練習として朝8時半から汗を流していた。

捕手:中村悠平、西田明央、松本直樹

内野手:西浦直亨、奥村展征、太田賢吾、廣岡大志、宮本丈、村上宗隆、吉田大成

外野手:山崎晃大朗、渡邉大樹、塩見泰隆

"バット投げ"練習は1日に5人。選手たちから何度も「うまいなぁ」と感心されていたのが渡邉だ。そのほとんどが真っすぐ、高く、遠くへ飛んでいた。渡邉がその秘訣について語る。

「バットがきれいに飛んでいくのは気持ちいいです(笑)。僕はこの練習をほかの選手より多くしているので、それもあると思います。今は、宮本(慎也)ヘッドコーチからの課題で、右手を離してフォローする練習をしていて、その意識を持つことで正面に飛ぶようになりました。打席でもああいう風にバットが内側から出て、ボールがバットに乗っかり、前に大きくフォローがとれたら、きっと"バット"みたいにきれいに(ボールが)飛んでいくと思います。でも、実戦ではまだまだです(笑)」

 その練習の成果か。渡邉は韓国のKIAタイガースとの練習試合で逆転満塁ホームランを放った。4年目の今シーズン、内野手から外野手登録となり「結果がほしいです」と意気込んでいる

「レベルの高い環境でやらせてもらっているので、いろんなことを吸収して今シーズンにつなげたいと思っています。僕の場合は走塁からだと思うので、まずはそこでアピールして、なんとか食らいついていきたい」

 6年目となる奥村も、頼もしい"バット投げ"を見せた。宮本ヘッドが「この種目がオリンピックにあったら金メダルやな(笑)」と言うほど、美しい放物線を描いていた。奥村が言う。

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