まさかの3連敗で広島は崖っぷち。
カープOBが語る逆転日本一の条件
日本シリーズは福岡ソフトバンクが本拠地で3連勝を飾り、対戦成績を3勝1敗1分として日本一連覇へ王手をかけた。ヤフオクドームで行なわれた3連戦は、広島OBでもある西山秀二氏の目にどのように映ったのか。6戦目以降の展望も踏まえ、解説してもらった。
第5戦で本塁打を放つなど、ようやく復調してきた丸佳浩 ヤフオクドームでの3連戦はどっちに転ぶかわからない展開が多く、結果的にソフトバンクが3連勝しましたが、広島が勝っていても不思議ではなかったと思います。ただ、最後まで広島にペースを握らせなかったソフトバンクの戦いは"さすが"と言うしかありません。
たとえば第4戦の初回、一死一塁から丸佳浩がセンターオーバーの二塁打を放ち、菊池涼介が本塁を狙うもタッチアウトになった場面がありました。「本塁を狙わず一死二、三塁にすべきだった」という意見もありましたが、いつもなら間違いなくセーフになっていたと思います。
あの場面をあらためて振り返ると、センターの柳田悠岐からセカンドの明石健志へわたり、最後はキャッチャーの甲斐拓也のミットへと収まりました。少しでもボールが逸れたり、タイミングがずれたりすると、絶対にアウトにはなっていないと思います。それだけ完璧なプレーだったということです。おそらく何百回に1回、何千回に1回のプレーですが、それがこの大舞台で出るのですから、普段から高い意識を持ってプレーしている証拠だと思います。
正直、あの打球でランナーを刺せるチームは、少なくともセ・リーグにはいません。あれで先制していたら試合展開は変わっていたでしょうし、なにより丸に打点がつかなかったことが大きかった。
それに、甲斐を筆頭に、ソフトバンクバッテリーが広島の足を完全に封じました。甲斐の捕ってから投げるまでの素早さ、コントロールの正確性は特筆すべきものがあります。でも、それだけではランナーを刺せません。ピッチャーがしっかりけん制し、クイックで投げられているからこそ、アウトにできるのです。ソフトバンクはそうした基礎的なことをしっかりできています。
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