森友哉は「球界の絶滅危惧種」。「打てる捕手」として進化を遂げた (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 9月15日、ゲーム差3.5で迎えた2位・ソフトバンクとの3連戦初戦がメットライフドームで始まる約5時間前、森は山川穂高とともに真っ先に戦いの場に現れた。同期入団のふたりは誰より早くグラウンドにやって来て、入念にウォーミングアップするのを本拠地でのルーティンワークとしている。

 多くの時間をともにする山川が、チームのMVPとして挙げたのが森だった。

「僕は森が一番、苦労したと思っていますから。活躍したというより、苦労した人がMVPになるべきだと僕は考えます」(『週刊ベースボール』2018年10月15日号より)

 苦労とは、捕手としての守備面を指している。たとえば優勝の行方を大きく左右する上記3連戦初戦で、ソフトバンクはエース・千賀滉大を先発に立ててきたのに対し、西武は3年間未勝利の郭俊麟(クォ・ジュンリン)に託した。誰が見ても、ホームチームは苦しい戦いを強いられそうだ。

 今季の西武は先発投手によって捕手を使い分けるなか、郭の今季2度目のマウンドでコンビに指名されたのが森だった。初回に3点リードをもらうと、森は大胆なリードを見せていく。4番の柳田悠岐に対してカーブを2球続けたり、内角にチェンジアップを要求したりするなど、「緩い球」で積極的に攻めながら、郭を5回3失点と好リードして勝利に導いた。

 カーブやチェンジアップは甘く入れば長打になりやすい球種だが、信頼度が高いから、ストレートを見せ球にするような組み立てをできたのだろうか。

「信頼度というよりも、バッター陣がまずストレートに照準を合わせて来ているなと感じていたので。カーブなり、チェンジアップでカウントを取れれば有利ですし。そうなると真っすぐ1本に絞るのはなかなか難しくなると思うので、いつもより少し多く使ったかなという感じです」

 リードは捕手の個性が表れるから面白い。たとえば炭谷は「この球でアウトに取ろう」というストーリー性や計算力を感じさせ、岡田は投手のよさを引き出すのに長けている。

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