名コーチが検証。巨人・岡本和真が真の4番になるために必要なことは (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 だから今シーズン、高橋由伸監督が岡本にポジションを与えたことは"大ヒット"だったと思う。彼の性格をどこまで把握していたかはわからないが、打席での安心感が好結果に結びついているのは間違いないだろう。

 岡本のバッティングの最大の特長は、思い切りのよさだ。球種、コースに関係なく、振ると決めたらためらうことなくスイングできる。普通だったら見逃すはずのボールでも、積極的に打ちにいく。これが並みの若手選手なら打ち損じるわけだが、岡本はしっかりフェアゾーンに入れるセンスを持っている。

 また、ヒットにするのが難しい球はファウルにして、次に投げてきた甘い球を確実に仕留める。そうした技術がともなってきたからこそ、この時期まで3割をキープできているのだ。

 それはデータにもはっきりと表れている。カウント別での岡本の打率はこうだ。

0-0 38打数16安打/打率.421/本塁打3

0-1 18打数8安打/打率.444/本塁打3

0-2 15打数3安打/打率.200/本塁打0

1-0 18打数10安打/打率.556/本塁打3

1-1 29打数10安打/打率.345/本塁打3

1-2 54打数9安打/打率.167/本塁打0

2-0 4打数2安打/打率.500/本塁打1

2-1 17打数6安打/打率.353/本塁打0

2-2 43打数8安打/打率.190/本塁打0

3-0 4打数1安打/打率.250/本塁打0

3-1 8打数6安打/打率.750/本塁打1

3-2 27打数6安打/打率.222/本塁打0

 見てもらうとわかるように、1-0や2-1の打者有利なカウントのときに好成績を残している。おそらく、このカウントは真っすぐ系のボールが多く、少々ボール球でも積極的に打ちにいってヒットにしているからだろう。

 そのなかでもっとも興味深かったのは、カウント0-1での成績(16打数8安打、打率.500)である。一般的にこのカウントは「捨てにくるカウント」といって、ボール球にする率が高い。

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