2戦2敗、10失点。Gのエース・菅野智之に何が起きているのか? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva島村誠也●協力 cooperation by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方、選手たちはどう感じていたのか。6日の試合に「2番・サード」で先発出場した奥村展征(のぶゆき)は、菅野の対策として打席のなかでこうアプローチしていたと語る。

「すごく考えている方なので、狙った球はまず来ないです。『ここはスライダーが来そうだな』というときに、まったく違うボールでストライクを取ってくる。とにかくコントロールがいいので、狙い球を1本に絞るというよりは、ストライクゾーンに来た甘めの球を振りにいくという考えでした。際どいところは『ボールになってくれ』という気持ちでした」

 その奥村は初回に6球目を一塁ライン際に転がし、先制の起点となる内野安打を放つも、そのあとの打席はショートフライと三振に倒れた。

「結果的に初回の内野安打だけでそれほどよくなかったのですが、"打てそうな1球"というのは打席ごとにありました。昨年は、いくらファウルで粘ってもそういうボールはほとんどありませんでしたから......。今回の対戦に限っていえば、結構早い段階でボールが見やすかったというか......そういうイメージでした。いろいろ球種があるので絞りづらいのですが、ちょっと高めにきたりとか、スライダーが真ん中に多かった印象はありました」

 とはいえ、菅野が登板したのはまだ2試合。これだけで「今年の菅野はおかしい」と決めつけるのは早計だ。ヤクルトの主砲・バレンティンも「現時点で昨年と特に変わったところは感じなかった。まだ対戦機会が少ないので、何とも言えないよ」とコメントしている。

 藪氏も「ひとつ勝てば普段通りの菅野に戻るはず」と言う。ただ同時に、このように一抹の不安を漏らす。

「ピッチャーというのは、別に調子が悪くなくても勝ち星がつかないと『どうしよう......』となってしまうものなんです。そのときに冷静でいられるかどうかでしょうね。結果が出ないだけで調整法やフォームを変えてしまい、さらに悪くなった投手もいました。菅野投手が"負のスパイラル"に陥(おちい)らないためにも、まずは自分のピッチングをすることに終始すべきだと思います」

 3度目の正直となるか、それとも悪夢は繰り返されるのか――いずれにしても、今季3度目の登板となる4月13日の広島戦(東京ドーム)は、菅野にとっても巨人にとっても大きな意味を持つ一戦になりそうだ。

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