今季のDeNA今永昇太は「120球以内で完投」の準備ができている (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 理想は「127キロから130キロ」(今永)のパワーカーブ――このボールを決め球としてうまく生かすことができれば、120球以内で完投できる。そういうピッチングを身につけることで、1年間、ローテーションを余裕を持って守ることができる。今永に期待されているのは、押しも押されもせぬベイスターズのエースとして、長年、君臨し続けることなのだ。

「そんな域にはまだ全然、足りていません(苦笑)。他のチームで、11勝して『僕はエースです』って言っている人はいないでしょう。菊池(雄星)さん、東浜(巨)さん、千賀さんは2年連続で2ケタ勝利していますし、菅野(智之)さんも17勝しています。そういうピッチャーがエースと呼ばれるに相応しいんだと思います。

 高校時代、『エースはずっとエースでいなければいけない』と監督さんに教えていただいたんですけど、その言葉を思い出すと、今の自分にはまだ違和感しかありません。マウンドの上でも練習のときにも、グラウンドにインするときでもエースであれ、と......もっと言えば、食事をするときも寝るときも、エースはエースでなければならないんです。そうすればすべての行動に責任も生まれますし、適当な練習もできなくなる。そう考えると、そう呼んでいただくために、僕にはまだまだやらなきゃならないことがたくさんあります」

 とはいえ、今シーズンの開幕投手候補のひとりとして名前を挙げられている。エースとしては発展途上だという今永も、その第一歩となる開幕のマウンドにはハッキリと意欲を覗かせた。

「12人しかそのマウンドに上がることはできませんし、今年は本拠地で迎える開幕ですから、もちろん、やってみたいという気持ちはあります。1年で最初の、一番きれいな横浜スタジアムのマウンドに、真っ先に立てるのはベイスターズの開幕投手だけなので、そこを目指してやっていかなきゃいけないと思っています」

 プロ1年目には、打たれた試合のあと、「暗いオーラ」を出してしまったという今永。そこを反省して、去年は打たれてもポジティブに過ごすことを心掛けた。

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