今季のDeNA今永昇太は「120球以内で完投」の準備ができている (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 もともと、ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップが今永の持ち球だったのだが、そこへパワーカーブを加えようと考えたのは、チームメイトの筒香嘉智のこんな何気ない一言があったからだった。

「バッターって、横の動きには早く慣れるもんだよ」

 今永はハッとした。思い当たる節があったからだ。今永は昨シーズン、球数の多さに悩まされた。9回を投げ切って完投した2試合は132球と141球。5回で100球に達することも珍しくなかった。その原因が、筒香の言葉から垣間見えたというのである。

「去年、どれだけキレのいいスライダーを投げていても、試合の後半になると当てられるようになったんです。今日はスライダーがいいと思っていても、だんだんファウルを打たれたり、見切られたりする。結果的に打ち取れたとしても球数を要して、スライダーでは決着をつけられなくなりました。

 その理由を筒香さんと話していて気づかされたんです。横の動きにバッターの目は慣れるのが早い......だったら、早い段階で勝負を終わらせたり、ときには3球勝負を挑める球種が欲しいなと思って、パワーカーブに取り組もうと考えたんです」

 今永にとって、チェンジアップは追い込んでからボール球にして振らせたい球種であり、これまでの緩いカーブはカウントボールのイメージだった。

「これまで投げていたカーブは、ツーストライクに追い込んだあと、予測されてない状況で投げても当てられちゃうボールなんです。緩すぎるんですかね。それじゃ、決め球には使えません。だから、待ってない状況でそのボールが来たら、アッと思って手が出ないとか、待っている状況で来ても、想像以上に落ちて打ち損なうとか、そういうカーブが投げたくて......そのためには速さもキレもあるパワーカーブがいいんです」

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