ロッテ新監督・井口資仁、新春に誓う「チーム立て直しは今しかない」 (2ページ目)

  • 田中将介●文 text by Tanaka Masayuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 決して井口は無茶をしろと言っているわけではない。気持ちがプレーに出るということを示したいのだ。

「選手本人がトレーナーに『腰がちょっと痛いです......』と言っていても、監督が聞いたら大丈夫です。試合に出ますで、いいじゃないですか。このこまめな会話は選手の気持ちをらすためでもあります」

 井口は現役時代から一軍、二軍の選手に分け隔てなく声をかけてきた。

 監督になったいま、「井口監督」と呼ばれることよりも、現役時代と同じ「井口さん」と呼ばれることのほうが多いという。「選手たちは僕のことを監督だと思ってないんですよ(笑)」と冗談を飛ばしながらも、なぜ、まだ選手と監督の距離が近いまま、言い換えれば境目があいまいだとわかっていながら、引退後すぐに監督という大役を引き受けたのか。

 その大きな理由として井口が挙げたのは、「戦力の熟知」である。

「この選手をこういうふうに育てたいなと、この何年か考えながら選手を見ていた。戦力をうまく生かせるので、僕は現役からいくことをプラスにとらえています」

 確かに、何年かチームを離れると、選手層はガラッと変わる。そうなると選手の実力を把握しているうちに1年目が終わってしまう可能性もある。

 2017年、球団ワーストの86敗を喫し、最下位に沈んだロッテ。球団からのオファーがあったからとはいうものの、指揮官就任への情熱は並々ならぬ強さがあった。

「球団の『チームを変えてほしい』という期待に応えるなら、今しかないと思ったんです」

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