五十嵐亮太が「53」に秘める思い。「俺はゴミじゃない」からの20年 (3ページ目)

  • 山岡則夫●文 text by Yamaoka Norio
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「正直、この年齢だから、自分の将来のことが気にならないといったら嘘になる。現役生活の着地点がどこになるのか......そこは毎年、気になっているよ。もちろん、結果を残せなければ使ってもらえないわけだし。でも、まだまだ現役でやりたい気持ちが強いからね」

 現役の投手として1年でも長くマウンドに上がる。そのために毎年、様々な挑戦を行なっている。2016年のオフには、メキシコのウインターリーグに参加した。

「まあ、いろいろとやってみたいことがあったから。僕自身、新しいことが好きというのもあるし。あとは精神的にリフレッシュするという意味合いもあった。(メキシコに行ったときは)シーズン終盤、あまり投げられなかったから、もう少し投げたいと思って......」

 そのメキシコでは先発にも挑戦。登板した7試合のうち5試合が先発だった。

「正直、向こうの手違いなんだけど(笑)。『えっ、マジ? 先発?』って感じだった。だって、プロに入ってから先発なんてしたことなかったんだから。でも、意外と投げられた。新しい発見で、すごく面白かった」

 新たな挑戦を楽しむ五十嵐だが、変わらないものもある。それが背番号への想いだ。

「53が大好き。ヤクルトで最初に着けたときは、周囲に『ゴミ(=53)』って言われるのが怖くて......それで必死になっていた部分もある。気がついたら、だんだん自分の番号になっていた。日本では(数の)小さい番号がいいって言われるけど、アメリカの投手って大きい番号も多いし、逆にカッコいいかなって......。映画『メジャーリーグ』の主人公の投手も"背番号99"だったでしょ」

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