苦戦するヤクルトに希望の光。合言葉は「石山と秋吉につなげ」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その石山が8回を抑えれば、9回のマウンドは秋吉である。昨年の夏前からクローザーを任され、今シーズンはヤクルト不動の守護神として活躍している。石山は秋吉についてこう語る。

「心強い存在ですよね。(僕が)投げ終わったあとは、本当に安心して見ていられます」

 今シーズンの秋吉のピッチングを見ていると、これまでの経験を生かした実に"味のある投球"を見せている。そのことを秋吉に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「この3年間でダメだったところを修正できているので、抑えられていると思っています。たとえば、一発を浴びてはいけない場面で、その打者と勝負するのか、それとも次の打者と勝負するのか......とか。まずはそこを考えて、打者と対戦するときは低めにしっかり投げる。ほかの選手もそうだと思いますけど、同じ失敗を繰り返したらこの世界ではやっていけないですし。WBCの経験も生かされて、シーズンに入れていると思います」

 秋吉は5月13日の中日戦で、ビシエドに逆転3ランを浴びてしまったのだが、それは今シーズン初めて許した被弾だった。伊藤コーチは「チームに秋吉以上の抑え投手はいない」と全幅の信頼を寄せている。

「いろんなことを経験して、状況に応じたピッチングができていますよね。彼の強みはとにかくタフで、いくら投げてもへこたれないこと。それに、自分から崩れることがありません。調子が悪いときでもある程度のパフォーマンスを発揮してくれますし、1イニングをしっかり抑えてくれる。チームにとっては、マウンドに送り出しやすいピッチャーですよね」(伊藤コーチ)

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る