名コーチが分析。山田哲、筒香の不振は本当に「WBC後遺症」なのか (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 バレンティンが60本塁打を記録した年は、ステップしてもキッチリ鋭い軸回転でボールを飛ばせていた。だが翌年は、疲労などから、ステップ幅がやや広くなり、軸もぶれていたというのだ。今シーズンの開幕後の山田が、まさにその状態だったと解説する。

「歩幅でいえば一足半程度かな。目測に過ぎませんが、哲人のいい状態のときに比べれば、明らかに広かった。打てていないときは歩幅が広く、軸足の粘りもない。だから体が前(投手側)に飛び出してしまい、ボールを引きつけられなかった。最近はよくなってきたけど、とにかく哲人は、ステップした足が構えたときの位置にそのまま下りてくるかどうか。そこが彼の好不調を極めるポイントと言っていいんです」

 軸足の粘りがない状態が長引いていたのは、伊勢氏によれば、やはりWBCの影響によるトレーニング不足、走り込み不足が原因だと指摘する。

「代表チームでも下半身強化の走り込みなどは、気をつけてしていたと思います。でも、所属チームとの練習量と比べれば、やはり足りないことは否めない。それに哲人は指名打者での出場が多く、野手としてグラウンドに出る機会はほとんどなかった。その影響も少なくないと思いますね。イニングごとにダッシュして守備位置につく。あれだって、下半身には十分なトレーニングになっていますから」

 そしてこう続けた。

「哲人も帰国してから必死に走り込んで、間に合わせようと頑張ったと思いますが、やはり2月下旬から3月中旬まで試合中心だった影響は残っていたのではないかな......」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る