全治1年からの帰還。DeNA山崎憲晴ロングインタビューby村瀬秀信 (7ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 強がりではなく、この1年間のブランクは決して無駄ではなかったと思っている。自分がどういう選手かの原点に立ち返れたこと。そして離れなければわからなかった野球観もある。

「2~3ヵ月の離脱じゃわからない。"全治12ヵ月"と言われたことでしかわからなかったことって絶対にあるんです。みんな、プレッシャーのかかる場面や、打てない時、エラーした時なんて野球が楽しくないと思うんですよ。でも、僕は今、グラウンドに立てているだけですごく楽しいんです。みんなにとっては当たり前なことだけど、それが当り前じゃなくなることを知ると、考え方が変わってくる。

 リハビリ中にファンの方から温かい声援や手紙をいただいて、何度泣きそうになったかわかりません。横須賀の練習場で歩くこともできなかった僕に、『待ってるよ、待ってるよ』って声をかけてくれた人たちのことは忘れない。『おかえり』って言ってもらえるプレーをみせることが、今の僕の一番のモチベーションです」

 "SMILE FOR ALL"

 2015年からユニフォームの首元に入れている「パーソナルスローガン」に、憲晴はこの言葉を使い続けている。過去2年間が野球人生最悪となれば、違う言葉に変更してもおかしくはないが、憲晴は今シーズンもこの言葉を変えない。

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