菊池が、筒香が......若き日の
侍たちが見せていた「大器の片鱗」秘話
第4回WBCで日本代表は1次ラウンド、2次ラウンドで無傷の6連勝を飾り、決勝ラウンド進出を決めた。連日の熱戦で奮闘する選手たちの最高のパフォーマンスを目の当たりにしながら、つい数年前まで"アマチュア球界"で頑張っていた彼らの姿が蘇ってくる。
再三の好守で日本代表を救った菊池涼介 WBC2次ラウンドのキューバ戦で、投手のはじいた打球に猛然とダッシュし素速く正確な送球で打者走者を間一髪で刺した菊池涼介(広島)のプレーは、今から6年前の「大学ジャパン候補合宿」の紅白戦で、当時・中京学院大にいた彼がやってのけたスーパープレーそのものだ。
当時、まったくの無名だった菊池は、この合宿で猛アピール。右に左に前に後ろに圧倒的な守備のパフォーマンスを見せつけ、"学生ジャパン"にしがみついた。菊池が台頭してきたのがまさにこの合宿で、彼の原点ともいえる。
その菊池とカープで不動の二遊間を組んでいるのが田中広輔。今回のWBCでは「坂本勇人のサブ」(小久保裕紀監督)という役回りで選ばれたにも関わらず、1番・ショートで出場した中国戦では初回にヒットで出塁すると、盗塁と相手のエラーで三塁に進み、山田哲人の犠牲フライで先制のホームイン。サッと時間をかけずにチャンスをつくる能力はアマチュア時代から光っていた。
思い出すのが、田中が東海大相模高3年の7月。夏の甲子園をかけた神奈川大会の直前、成田高(千葉)との練習試合だ。
東海大相模のエース・菅野智之(巨人)と成田のエース・唐川侑己(ロッテ)という全国屈指の好投手同士。ともにライバルと強く意識するふたりのガチンコ対決。しかも県大会直前ということもあり、お互い調子もテンションもピークに近い高さだった。
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