ルーキー加入で激化。7人の西武ショート定位置争いを制するのは誰だ (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 練習中のプレーだけにとどまらず、言葉からも発せられる独特の雰囲気に、「今年の永江はやりそうだ」という思いを抱かずにはいられなかった。

 だが、今のところ遊撃レギュラー争いの筆頭候補の位置にいるのは、大卒2年目の呉念庭(ウー・ネンティン)だろう。昨季はルーキーイヤーながらシーズン終盤に一軍の遊撃に抜擢され、43試合に出場している。

「監督も代わったので、みんなチャンスがあるし、ゼロからのスタートだと思っています。僕がアピールできることといえばバッティングなので、打席の中での粘り強さを見せていきたいです」

 台湾出身の呉だが、岡山県共生高、第一工業大と日本で学生生活を送っており、日本語は何も違和感のないレベルで話せる。

 昨季はファームで73試合に出場し、打率.311、4本塁打、34打点、14盗塁と結果を残した。四球を39も選んでいながら、三振数は30。いかに選球眼とコンタクト能力が高いかがうかがい知れる成績だ。一軍では打率.194にとどまったが、本人は「自信になったし、いい経験になりました」と振り返る。

 細身の体ながらグリップエンドに小指を掛けて握るためバットが長く見え、ヘッドをしなやかに効かせてライナー性の打球を放つ。キャンプの打撃練習でも、そんな持ち前のバッティングでアピールしていた。

 本人が課題と認識している守備も決して悪くない。「捕れる打球をしっかり確実にアウトに取ること」という謙虚な姿勢が、ミスの少ない確実性の高さにつながっている。

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