ルーキー加入で激化。7人の西武
ショート定位置争いを制するのは誰だ

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 昨秋のプロ野球ドラフト会議当夜のこと。ニコニコ生放送のドラフト特番に呼ばれ、「2017年の新人王」を他の出演者と予想することになった。

 本当は佐々木千隼(桜美林大→ロッテ1位)の名前を挙げようと思ったのだが、無難過ぎて面白味に欠けると考え、源田壮亮(トヨタ自動車→西武3位)を挙げさせてもらった。しかし、当初はダークホースのように思っていた源田が、次第に「意外と本命なのではないか?」という気がしてきた。

ショートの定位置争いを繰り広げている(左から)永江恭平、呉念庭、源田壮亮の3人ショートの定位置争いを繰り広げている(左から)永江恭平、呉念庭、源田壮亮の3人 誰もが目を奪われるアクロバティックで華麗な遊撃守備に加え、スピード感あふれる走塁。守備力を評価されて定位置をつかみ、課題の打撃は試合に出続けるなかで次第に克服していく。1997年にドラフト5位ながら新人王に輝いた小坂誠(ロッテ/現・巨人コーチ)のような活躍イメージが湧いてきた。

 まして西武は辻発彦新監督が就任したばかり。新監督はえてして自分の色を打ち出したいもの。だが、強打者ひしめく西武のレギュラー陣を見渡すと、空いているポジションは遊撃手しかない。そこで守備力の高い源田を抜擢して、"辻カラー"をアピールするのではないか。そんなストーリーが脳内でふくらんだ。

 はたして、源田はそのストーリーをなぞるように新人王に輝くのだろうか? 期待に胸をふくらませながら、西武A班(一軍)がキャンプを張る宮崎・南郷スタジアムへと向かった。

 しかし──結論から言うと、源田には誠に失礼ながら「新人王説」をひとまず取り下げさせてもらいたいという思いにかられた。その理由は、予想以上に源田の打撃がプロレベルに順応できていなかったこと、そして予想以上に「ライバル」たちの動きが素晴らしかったからだ。

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