91年V戦士が語る、カープ優勝を決定づけた黒田・新井と若手の関係
「前回優勝の91年を振り返ると、やっぱり津田恒美のことを思い出します。病と闘う彼に、優勝の報告をしよう、優勝旅行に連れていってやろう......。みんなその気持ちでまとまって、9月に首位に立っての優勝。あの年、僕は選手会長だったんですけど、本当に特別な優勝でした」
25年ぶり7度目の優勝を果たした広島カープ そう言って、25年前の記憶をたどったのは山崎隆造氏だ。80年代から90年代にかけて走攻守揃ったプレーヤーとしてチームを支えた。引退後は一軍コーチ、二軍監督を長らく務め、現在は放送席からカープの戦いを見つめている。
山崎氏にあらためて今年のカープの強さを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「今年のカープは、投手力の充実はもちろんですが、打線は久しぶりに打順を固定できた。特に1〜3番は不動で、これによって攻撃の形ができ、落ち着いて試合をすることができました」
1番・田中広輔、2番・菊池涼介、3番・丸佳浩。今季優勝決定までに、この3人のうちスタメンを外れたことがあるのは菊池のみで、それも2試合だけ。他球団との差は歴然で、残りの5球団のなかで1〜3番の定着率が高い巨人やヤクルトでさえも、24人を起用した。
「なかでも田中の存在が大きい。緒方(孝市)監督もキャンプ、オープン戦の中盤まで1番を決めきれていなかったのですが、そこに田中が定着できたことが大きい」
オープン戦序盤は、2年目の野間峻祥(のま・たかよし)を積極的に試し、菊池を入れたこともあった。当初、田中は5〜8番を打っていたが、オープン戦中盤あたりから1番を任されると、期待に応え、不動の1番となった。
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