「無難な野球」を捨てれば、セ・リーグは交流戦でパ・リーグに勝てる! (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Tomohiro Motonaga
  • photo by Jiji photo

──ほかに気になるチームはありますか。

小関 金本知憲新監督率いる阪神タイガースです。金本監督は常々「強く振れ」とバッターに言っていますが、その方針によって原口文仁捕手が頭角を現してきました。プロ入り後は故障が多く、育成選手になっていた原口捕手が支配下選手登録されたのは4月27日。以来コンスタントに出場し、打率3割台をキープするなど、攻守ではつらつとしたプレーを見せています。

 もともと帝京高校時代から打撃は力強かったのですが、プロでは鳴りを潜めていました。やっと「強く振る」ことを思い出したのかもしれません。ルーキーの高山俊選手(2015年ドラフト1位)も思い切りのいいバッティングを続けています。
 
──パ・リーグ対策としては、どこがポイントになるのでしょうか。

小関 バッターの内角です。ピッチャーからすれば、バッターの内角をどうやって攻めるか。バッターは、内角の厳しいボールをどうやって打つか。ここが交流戦でセ・リーグが勝つための大きなポイントになるでしょう。

 パ・リーグの圧倒的優位といわれた交流戦も、今年はここまでパ・リーグの15勝に対してセ・リーグの14勝と拮抗している。なかでも、巨人、阪神、DeNAはそろって勝ち越しており、40代の若い新監督トリオがこれまでの交流戦とは違う新しい流れを作りつつある。果たして2009年以来、2度目のセ・リーグ勝ち越しは実現するのか? 今後の戦いがますます気になるところだ。(※データは6月4日現在)

プロフィール
小関順二(こせき じゅんじ)
スポーツライター。1952年、神奈川県横須賀市生まれ。日本大学芸術学部卒業。88年、ドラフト会議倶楽部を結成し、ドラフト本番前に行なう「模擬ドラフト」が話題に。プロ・アマ合わせて年間300試合超の観戦に駆け回る野球の語り部。2015年12月に『間違いだらけのセ・リーグ野球』(廣済堂新書)、2016年2月に『2016年版 プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)を上梓した。

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