菅野智之もリードに感謝。小林誠司は巨人の絶対的正捕手となれるか? (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 菅野智之とバッテリーを組んだ3月25日のヤクルト戦(東京ドーム)。1-0と1点のリードで迎えた5回、二死一、三塁の場面で打席には山田哲人。安打はもちろんだが、ロースコアの試合展開では長打は最も警戒しないといけない。

 昨シーズンの本塁打王が相手で、ひとつ間違えれば本塁打が出やすくなる内角よりも、外角へのカットボール、スライダーを軸に組み立てていくことが安全策だと思われるが、今年の小林は違う。「外一辺倒では打たれる」と、狙いを絞られることを嫌った。

 強気にいく根拠もあった。オフから菅野は速球の質を高め、この試合でも球は走っていた。それに菅野は、制球力の高さも持っており、失投は少ない。140キロ台後半の速球で何度も胸元を突き、7球目に147キロのストレートでセンターフライに打ち取った。この回を無失点で切り抜けた菅野は、7回無失点の好投で3年連続の開幕戦白星を、昨年0勝4敗と苦手にしていたヤクルトから奪った。

「(小林)誠司が自分の球を信じてくれた。アイツのリードがあったから抑えられた」と菅野は感謝し、小林は「相手の力量、ケースを考え、余裕を持ってリードできるようになった」と手応えを深めた。

 また、"つながり"も重視するようになってきた。前の打者に対する攻め、それまでのイニングの傾向、その打者の前の打席の配球......それらを考慮に入れながら、先を見据え、意図を持ちながらサインを出していく。「いいバッターには3、4回に1回は打たれてしまうかもしれない。ただ、"ここ"という勝負の打席は打たれないようにしたい」と小林は力を込める。

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