オランダ人のバンデンハークはなぜ「無双の先発投手」になれたのか? (4ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 先発として経験を積みたかったことが一番の理由と語ったバンデンハーク。それでも、憧れだったメジャーの地位を捨てることにためらいはなかったのだろうか。

「もしアメリカに残っていたら、メジャーでプレーしたいという気持ちが先走って、自分の技術を高めることがおろそかになる気がしたんです。メジャーには、150イニング以下で昇格することができて、それはそれですごくうれしかったことは事実です。ただ、それからしばらくして、自分自身が成長できていないことに気づきました。しっかり成長できれば、いつでもアメリカに戻って来られると思いますし、今はそういったステップを踏むときなんだと感じて、韓国行きを決意したんです」

 サムスンでの2年間、バンデンハークはずっと先発だった。2013年は24試合に先発し、7勝9敗、防御率3.90。2014年は25試合に先発し、13勝4敗、防御率3.18、奪三振180。先発投手として、誰もが認める素晴らしい結果を残した。

 韓国で先発として成功をおさめることができた陰には、ひとりの日本人の存在があった。近鉄や中日などで活躍した元プロ野球選手で、サムスンのコーチをしていた門倉健だ。バンデンハークはこの2年間、門倉に多くのことを教わったという。

「私のなかで、門倉さんは一番のコーチでした。ボールの投げ方について一から取り組み、多くの時間を一緒に過ごしました。効果的な投げ方を教えてもらったり、そのほかにもいろいろと細かいことを教えてもらいました。彼の言っていることを注意深く聞いて、それに基づいて練習を重ねたからこそ、先発としてレベルアップすることができたんです」

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