マツザカよりマツモト。ホークス昨季ドラ1松本裕樹がベールを脱ぐ (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 アピールしたい若手投手ならば、つい思いっきり腕を振りたくなるところ。だが、松本はやけに冷静だ。バランスのいいフォームからしなやかに右腕が振り抜かれる。フォームの見た目の迫力以上に、球がぐっと伸びる。これは打者が最も嫌うタイプだ。何球目だったか、あの柳田から空振りを奪ってみせた。

「え? 空振りなんでありましたっけ。たまたまですよ。僕の球が遅すぎたんではないですか(笑)」

 たしかに、今の松本の投球スタイルは150キロ右腕というイメージはない。

「それは全力で投げるときだけ。1試合の中でもここぞという場面でしか投げません」

 当然とばかりに涼しい顔で言い切る。やはり並の若手ではない。

「1年目は投げられないなか、周りからは冗談で『バッターは?』と言われたこともありますが、僕は大した打者じゃない。ピッチャーで勝負したいという気持ちはずっと変わりませんでした。今は不安もなくなってきました。今年はまず二軍で結果を残すこと。やれるならば先発をやってみたい。そして今年中に一軍が手に届くところまで足を踏み入れたいです」

 2月29日にはB組練習試合(楽天戦・日向市お倉が浜)で1イニング登板する予定だ。ソフトバンクではかつて大エースがつけた背番号を継承したことも大きな期待の表れ。ヤフオクドームのマウンドに仁王立ちし、その大きな背中に「66」の数字が浮かび上がる。そんな光景が待ち遠しくてたまらない。

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