鬼教官・池山コーチも唸る、オコエ瑠偉のすさまじい「吸収力」 (2ページ目)

  • 石井祥一●文 text by Ishii Shoichi
  • photo by Kyodo News

 通常なら高卒ルーキーは春季キャンプで体力強化に重点を置くのだが、池山隆寛バッティングコーチはオコエに対して異例のフォーム改造に踏み切った。室内練習ではゴロ捕球やランニングメニューをカットして、付きっきりでスイングをチェック。手のひらの皮がめくれてもバットを振らせた。その甲斐あって、問題視されていたスイングの際の左肩の開きやタイミングの遅れは徐々に解消されてきた。

 ようやく晴れ間がのぞいた7日は紅白戦が行なわれ、オコエは白組の「2番・センター」で先発出場した。初回の第1打席では安樂のストレートに手も足も出ず三球三振に倒れるなど、3打席凡退。それでも7回無死一、二塁で迎えた第4打席で左中間を破る三塁打を放った。

「外野の間を抜けたら三塁を狙う姿勢はいつも持っている。まだまだ打てなくて当たり前。でも、4打席目にそれまでの反省を生かせたのはよかった」

 規格外のスピードで甲子園を沸かせたように、集まった1150人のファンの喝采を浴びた。

 昨年夏の甲子園で関東一高の「1番・センター」として初めて聖地の土を踏んだオコエの全国デビューは衝撃的だった。初戦の高岡商戦では初回に一塁強襲安打で二塁に到達すると、3回には史上2人目となる1イニング2本の三塁打を放った。驚異的なスピードを見せつけて一気に注目を集めると、続く中京大中京戦では満塁のピンチで頭上を越えようかという打球を完璧なスタートで掴み取る"ザ・キャッチ"を披露。準々決勝の興南戦では好投手・比屋根雅也から9回に決勝2ランを放つなど躍動して、一気にスターダムにのし上がった。

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