早くも注目。2016年のドラフト戦線をにぎわす5人の逸材 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 184センチ87キロ。これだけのサイズがありながら、高めに抜ける“棒球”がほとんどない。アベレージも140キロ前半をマーク。ここ一番の場面で右打者のふところをえぐるクロスファイアーは145キロを超え、さらにフォークという絶対的な武器を持っている。動かす角度、落差、コースと、どれをとってもウイニングショットになるレベル。まさしく「20年に一度の逸材」だ。

 ここまでの3人は間違いなく1位で消える選手。ここからは1位ではないかもしれないが、普通の選手には持っていない“個性”を持ったふたりを紹介したい。どちらも、プロ野球史に名を残せる素質も持った選手と見ている。

 まずは、大学生の吉川尚輝(中京学院大/内野手/右投左打)。天才肌のフィールディングセンスを持ったショートストップだ。人間わざとは思えないアクロバティックなプレーを何度か目の当たりにしている。三遊間に飛んだ痛烈なゴロをダイビングキャッチし、次の瞬間、上体だけを起こして送球し三塁に進もうとした走者を刺したかと思えば、二塁後方に上がったフライを前進してきたセンターと交錯しながら背面捕球。

 ただ、人ができないことをやってのける人間は、人が簡単にやってしまうようなことでポカをおかすことがある。捕球体勢に入った打球は100%アウトにできる確かさこそ、吉川がプロで名を残せる選手になるか否かの分かれ目になるだろう。

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